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親知らず抜歯後のドライソケットとは?やってはいけないNG行動と正しいセルフケア

抜歯後の激痛…もしかして「ドライソケット」?

ドライソケットとはどんな状態?

親知らずを抜歯した後、数日間はズキズキとした痛みが続くことがあります。これは傷が治っていく過程で起こる自然な反応です。しかし、処方された痛み止めを飲んでも効かないほどの激しい痛みが現れたり、日に日に痛みが強くなったりする場合は、単なる治癒過程の痛みではないかもしれません。そのつらい痛みの正体は、「ドライソケット」という抜歯後のトラブルの可能性があります。

ドライソケットとは、抜歯した穴がうまくふさがらず、顎の骨がむき出しになってしまっている状態のことを指します。通常、歯を抜いた後の穴には血液が溜まり、「血餅(けっぺい)」と呼ばれるかさぶたのようなものが作られます。この血餅がフタの役割をすることで、外部の刺激から骨を守り、傷の治りを促してくれるのです。

しかし、何らかの原因でこの血餅が剥がれてしまうと、デリケートな骨が直接お口の中に露出してしまいます。その結果、食べ物や飲み物、空気などの刺激が神経に直接伝わり、激しい痛みを引き起こしてしまうのです。

通常の痛みとの見分け方

「この痛みは、本当にドライソケットなの?」と不安に思う方もいらっしゃるでしょう。抜歯後の通常の痛みとドライソケットには、いくつか明確な違いがあります。

項目抜歯後の通常の痛みドライソケットの痛み
痛みのピーク抜歯後2~3日がピークで、その後は徐々に和らぐ。抜歯後3~5日経ってから、急に強い痛みが出始める。
痛みの強さ・種類ズキズキする痛み。処方された痛み止めでコントロールできる。痛み止めが効かないほどの激しい痛み。耳やこめかみに響くような痛みを感じることも。
抜歯した穴の見た目赤黒いゼリー状の血餅(かさぶた)で覆われている。穴の中が空洞に見え、白っぽい骨が見えることがある。
臭い特に気になる臭いはない。食べカスが溜まりやすく、強い口臭がすることがある。

もし、ご自身の症状が「ドライソケットの痛み」の項目に当てはまるようであれば、我慢せずにできるだけ早く歯科医院に相談することが大切です。

なぜ起こるの?ドライソケットを引き起こす主な3つの原因

激しい痛みを引き起こすドライソケットは、一体なぜ起こってしまうのでしょうか。その主な原因は、抜歯した穴の「かさぶた(血餅)」が正常に作られない、または剥がれてしまうことにあります。具体的には、以下の3つの原因が考えられます。

原因①:血餅(けっぺい)が剥がれてしまう

最も多い原因が、できたばかりのデリケートな血餅が、物理的な刺激によって剥がれてしまうケースです。血餅はまだ不安定で、少しの衝撃でも取れてしまうことがあります。

特に、以下のような行為は注意が必要です。

  • 強すぎるうがい:「お口の中を清潔にしたい」という気持ちから、抜歯後に何度も強くうがい(ぶくぶくうがい)をしてしまうと、その水圧で血餅が洗い流されてしまいます。
  • 抜歯した場所を触る:気になって舌や指で傷口に触れると、その刺激で血餅が剥がれてしまうことがあります。ストローで飲み物を飲む際の吸う力も、剥がれる原因になり得ます。

原因②:細菌による感染

お口の中には常に多くの細菌が存在しています。抜歯後の傷口は非常にデリケートなため、普段よりも感染しやすい状態です。

歯磨きが不十分でお口の中が不潔な状態だと、細菌が繁殖しやすくなります。増殖した細菌が血餅の形成を妨げたり、作られた血餅を溶かしてしまったりすることで、ドライソケットを引き起こすことがあるのです。処方されたうがい薬や抗生物質は、この細菌感染を防ぐために非常に重要です。

原因③:血行不良

抜歯後の傷が順調に治るためには、傷口に十分な血液が供給されることが不可欠です。血液がしっかり巡ることで、健康な血餅が作られ、組織の修復も進みます。

しかし、以下のような要因で血行が悪くなると、血餅が十分に作られず、ドライソケットのリスクが高まります。

  • 喫煙:タバコに含まれるニコチンには血管を収縮させる作用があり、血行を著しく悪化させます。抜歯後の喫煙は、ドライソケットの最大のリスク因子の一つと言われています。
  • 体の抵抗力の低下:ストレスや睡眠不足、栄養の偏りなどで体の抵抗力が落ちていると、傷の治りも遅くなりがちです。

これらの原因は、実は日々の少しの注意で避けることができます。次の章では、具体的な予防法について詳しく見ていきましょう。

今日からできる!ドライソケットを防ぐための5つのセルフケア

ドライソケットは非常につらい症状ですが、幸いなことに、その多くは抜歯後の少しの注意で防ぐことができます。原因が分かっていれば、対策は難しくありません。今日からできる5つのセルフケアをご紹介します。

強いうがいを避ける

抜歯後にお口の中を清潔に保つことは大切ですが、強すぎるうがいは禁物です。特に抜歯当日から2〜3日の間は、できたばかりの血餅(けっぺい)が非常に取れやすい状態です。

良かれと思って行う「ぶくぶくうがい」は、その水圧で血餅を洗い流してしまいます。お口をゆすぐ際は、水を口に含み、顔を傾けてそっと流し出す程度にしましょう。処方されたうがい薬を使う際も同様に、優しくお口全体に行き渡らせるようにしてください。

抜歯した箇所を舌や指で触らない

抜歯した後の穴がどうなっているか、つい気になってしまいますよね。しかし、舌や指で触ってしまうと、その刺激で血餅が剥がれ落ちてしまいます。

食事の際はできるだけ反対側の歯で噛むようにし、歯磨きの際も、傷口の近くは歯ブラシが強く当たらないように注意しましょう。また、ストローで飲み物を飲んだり、麺類を強くすすったりする行為も、お口の中の圧力が変化して血餅が剥がれる原因になるため、しばらくは控えましょう。

喫煙・飲酒を控える

喫煙はドライソケットの最大のリスク因子です。タバコに含まれるニコチンは血管を収縮させ、傷口への血流を悪くしてしまいます。これにより、傷の治りが遅れるだけでなく、健康な血餅が作られにくくなります。

また、アルコールは全身の血行を良くするため、再出血の原因になったり、痛みや腫れを悪化させたりすることがあります。抜歯後、少なくとも1週間は禁煙・禁酒を心がけることが、順調な回復への近道です。

激しい運動や長風呂を避ける

飲酒と同じく、激しい運動や長時間の入浴、サウナなども血行を過剰に促進します。血流が良くなりすぎると、痛みが増したり、血が止まりにくくなったりする可能性があります。

抜歯当日は特に安静にし、シャワーを浴びる程度にしましょう。翌日以降も、数日間は体が温まりすぎないように注意して過ごしてください。

処方された薬を正しく服用する

歯科医院からは、感染を防ぐための「抗生物質」と、痛みを和らげるための「痛み止め」が処方されることがほとんどです。これらの薬は、医師の指示通りに正しく服用してください。

特に抗生物質は、途中で痛みがなくなったからといって自己判断で服用を中止してしまうと、細菌への抵抗力が弱まり、後から感染を起こす可能性があります。必ず処方された分をすべて飲み切るようにしましょう。

「もしかして…」と思ったら。ドライソケットの治療法

セルフケアを頑張っていても、強い痛みが続く場合はドライソケットになってしまっているかもしれません。そんな時は、決して一人で我慢しないでください。

まずはクリニックに相談を

「これくらいで歯医者に行っていいのかな…」とためらう必要は一切ありません。ドライソケットの痛みは非常に強く、日常生活に支障をきたすこともあります。何より、ドライソケットは自然に治ることが難しく、放置しても良いことはありません。

放置してしまうと、痛みが長引くだけでなく、顎の骨の治癒が大幅に遅れてしまう可能性があります。ご自身の判断で様子を見ようとせず、「おかしいな」と感じたら、できるだけ早く抜歯をしてもらった歯科医院に連絡し、相談しましょう。

クリニックで行う主な治療の流れ

歯科医院では、痛みを和らげ、傷口がしっかりと治るように、以下のような処置を行います。怖がる必要はありませんので、安心してくださいね。

  1. 洗浄 まず、抜歯した穴の中をきれいに洗浄します。ドライソケットは、穴の中にたまった食べカスなどが骨を刺激して痛みを引き起こしているため、これを丁寧に取り除きます。処置の際に痛みを感じそうな場合は、麻酔を追加することもありますので、リラックスして受けてください。
  2. 投薬 洗浄してきれいになった穴の中に、抗生物質や鎮痛作用のある軟膏を詰めます。これにより、むき出しになった骨を保護し、細菌の感染を防ぎながら痛みを和らげます。薬がフタの代わりとなり、刺激が直接骨に伝わらなくなるため、多くの場合、これだけで痛みはかなり楽になります。
  3. 経過観察 通常、上記の処置を行えば、数日で激しい痛みは治まります。その後は、傷口が新しい組織で覆われてくるまで、何度か通院して洗浄や薬の交換を行うこともあります。個人差はありますが、1~2週間ほどで徐々に回復に向かいます。

つらい痛みも、適切な治療を受ければ必ず良くなります。安心して専門家を頼ってください。

まとめ|正しい予防と早めの対処で、つらい痛みを避けましょう

今回は、親知らず抜歯後の代表的なトラブルである「ドライソケット」について、その原因から予防法、治療法まで詳しく解説しました。最後に、大切なポイントを振り返りましょう。

  • ドライソケットは、抜歯した穴のかさぶた(血餅)が剥がれ、骨がむき出しになってしまうことで起こる激しい痛みです。
  • 強いうがいを避ける、禁煙するなど、ご自身でできるセルフケアでそのリスクを大きく減らすことができます。
  • もしドライソケットが疑われる症状が出ても、我慢せずに早く歯科医院に相談すれば、適切な治療で必ず痛みは和らぎます。

抜歯後の痛みは誰にとっても不安なものですが、正しい知識があれば過度に怖がる必要はありません。この記事が、皆さまの抜歯後の不安を少しでも和らげる一助となれば幸いです。

かわべ歯科クリニックでは、患者様一人ひとりの不安に寄り添い、抜歯からその後の経過まで、責任を持ってサポートさせていただきます。何か心配なことがあれば、いつでもお気軽にご相談ください。

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