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なかなか抜けない子供の乳歯。歯医者で抜いてもらうべき?

お子さんの乳歯がグラグラしてくると、「いよいよ大人の歯が生えてくるんだな」と成長を感じますよね。 でも、グラグラしているのになかなか抜け落ちないと、「あれ?大丈夫かな?」「痛いのかな?」と心配になる保護者の方も多いのではないでしょうか。

「自然に抜けるのを待つべきか」「歯医者さんで抜いてもらうべきか」 その判断のポイントと、歯医者さんでの処置について詳しくご紹介します。

グラグラなのに抜けない乳歯、どうして?

まず、乳歯がグラグラする仕組みからお話ししますね。

乳歯の下では、大人の歯(永久歯)が育っています。この永久歯が大きくなって生えてこようとするとき、上に乗っている乳歯の「根っこ」を少しずつ溶かしていきます(これを専門用語で「歯根吸収(しこんきゅうしゅう)」と言います)。

根っこが溶けて短くなると、乳歯は支えを失ってグラグラし始めます。これが、自然な生え変わりのサインです。では、なぜグラグラなのに抜けないのでしょうか?それには、いくつか理由が考えられます。

根っこがまだ少し残っている

永久歯が乳歯の根を溶かすスピードや方向には個人差があります。グラグラしていても、まだ一部がしっかりとくっついていていると、なかなか抜けません。

永久歯の生え方が少しズレている

永久歯が、乳歯の真下からではなく、少し横(内側や外側)から生えてくることがあります。この場合、乳歯の根っこがうまく溶けず、グラグラなのに抜けない状態が続くことがあります。

歯ぐき(歯肉)がしっかりしている

根っこはほとんど溶けていても、周りの歯ぐきが乳歯を支えている場合もあります。

グラグラしている状態は、生え変わりのプロセスが進んでいる証拠です。 しかし、あまりにも長く抜けなかったり、お子さんが痛がったり、あるいは永久歯が変な場所から見えてきたりすると、注意が必要かもしれません。

自己判断で抜くのはNG?注意すべきポイント

お子さんの歯がグラグラしていると、「いっそのこと抜いてあげた方がスッキリするのでは?」と考えることもあるかもしれません。昔ながらの「糸を巻いて抜く」といった話を思い出す方もいらっしゃるでしょう。

しかし、ご家庭で無理に抜こうとするのは、実はあまりおすすめできません。

なぜなら、いくつかのリスクがあるからです。

自己判断で無理に乳歯を抜こうとすると、お子さんに不要な痛みを与えたり、お口の中を傷つけたりする可能性があります。

グラグラしているように見えても、どの程度根っこが残っているか、また歯ぐきの状態がどうなっているかは、外から見ただけでは正確に判断できません。 無理な力を加えることで、以下のようなトラブルが起こる可能性があります。

強い痛みや恐怖心を与えてしまう

無理に抜いたときの痛みがトラウマになり、お子さんが歯医者嫌いになってしまうケースは少なくありません。

歯ぐきや粘膜を傷つける(感染のリスク)

不衛生な手や道具で触ることで、傷口から細菌が入り、歯ぐきが腫れてしまう(歯肉炎)ことがあります。

乳歯の根が折れて残ってしまう

中途半分に力がかかると、歯の一部(根っこ)が歯ぐきの中に残ってしまうことがあります。これは後々、永久歯の生え方に影響したり、炎症の原因になったりします。

永久歯を傷つけてしまう

乳歯のすぐ下には、まだ柔らかい永久歯が待機しています。万が一、抜くときに使う道具などで永久歯の芽(歯胚:しはい)を傷つけてしまうと、将来の歯並びや歯の質に影響が出る恐れもあります。

ですから、グラグラが長く続いて気になる場合でも、「指で軽く押してみて、ポロッと取れそう」という段階を超える場合は、自己判断せず、一度歯医者の目で確認してもらうのが一番安心です。

歯医者での抜歯を検討すべき3つのケース

「自然に抜けるのが一番」とは分かっていても、どんな状態になったら歯医者さんに相談すべきか、迷ってしまいますよね。

ここでは、歯医者さんでの抜歯を検討した方が良い3つの代表的なケースをご紹介します。 お子さんのお口の中をチェックしてみてください。

ケース1:永久歯がすでに見えているのに、乳歯が抜けない

これが、最も多いご相談の一つです。

永久歯は、乳歯の根っこを溶かしながら、その場所に出てくるのが理想です。 しかし、乳歯の根っこがうまく溶けないまま、永久歯がしびれを切らして、乳歯の内側(舌側)や外側(唇側)から顔を出してしまうことがあります。

この状態を放置すると、永久歯はどんどんズレた位置で固まってしまいます。その結果、本来の位置に収まらず、将来的な歯並びの乱れの原因になる可能性が高くなります。 永久歯が見え始めたら、なるべく早めに乳歯を抜いてあげることで、永久歯が本来の位置に戻ろうとするスペースを作ってあげることが重要です。

ケース2:グラグラの歯で食事がしづらそう・痛がる

乳歯がグラグラしている期間が長いと、お子さん自身も違和感を覚えます。

  • 食事のたびに歯が動いて気になる
  • 硬いものを噛むと痛がる
  • 気になって指で触りすぎて、歯ぐきが赤く腫れてきた

このように、日常生活に支障が出ている場合は、抜歯を検討するサインです。 痛みをかばって片方だけで噛むクセがついてしまうと、顎の発達にも影響が出ることがあります。 また、歯磨きがしにくくなるため、虫歯のリスクも高まります。

ケース3:一定の時期を過ぎても抜ける気配がない

乳歯の生え変わりには、目安となる年齢があります。

例えば、下の前歯は6〜7歳頃に生え変わるのが一般的です。 周りのお友達がどんどん生え変わっているのに、目安の時期を1年以上過ぎてもグラグラする気配すらない、あるいは、グラグラし始めてから数ヶ月経っても抜けない、という場合も相談のタイミングです。

もしかしたら、永久歯が乳歯とは違う方向に向かっているか、稀なケースですが、永久歯がもともと存在しない(先天性欠如)可能性も考えられます。 この場合は、レントゲン撮影で下の永久歯の状態を確認する必要があります。抜歯が適切かどうかを含め、今後の対応を一緒に考えることができます。

反対側の同じ歯は抜けたのに、片方だけ抜けない。こんな時はどうする?

左右の歯は、大体同じタイミングで生え変わることが多いです。片方が抜けてから半年以上経ってもう片方が抜けない場合も、一度チェックすると安心です。

怖くない!歯医者さんでのスムーズな乳歯抜歯の流れ

「歯医者さんで歯を抜く」と聞くと、大人でも少し緊張してしまいますよね。 ましてや小さなお子さんなら、「痛いのかな?」「何をされるんだろう?」と不安でいっぱいになるのも当然です。

でも、安心してください。 乳歯の抜歯は、永久歯(大人の歯)の抜歯とは全く違います。 乳歯はもともと生え変わるために根っこが短くなっているので、多くの場合、処置はあっという間に終わります。

クリニックでは、お子さんの不安をできるだけ取り除けるよう、こんな風にステップを踏んで進めていきます。

ステップ1:まずはしっかりお話と確認

いきなり器具を口に入れることはありません。 まずは、お子さんや保護者の方と「どの歯が気になるかな?」「いつからグラグラしてる?」とお話をします。 必要に応じてレントゲンを撮り、乳歯の根っこの状態や、すぐ下にいる永久歯の位置をしっかり確認します。

ステップ2:痛みを感じにくくする「おまじない」

もし抜歯が必要だと判断しても、すぐに抜くわけではありません。 まずは、歯ぐきに「表面麻酔(ひょうめんますい)」を塗ります。これは、注射の針がチクッとする感覚を和らげるための、塗るタイプのお薬(ゼリー状など)です。

それが効いてきたら、とても細い針を使って、歯ぐきに麻酔(局所麻酔)の注射をします。 この時も、お子さんが驚かないように「ちょっとチクッとするよ」「眠くなるお薬を入れるね」と優しく声をかけながら、ゆっくりと行います。

ステップ3:あっという間の抜歯

麻酔が効いて、歯の周りの感覚がなくなったら、いよいよ抜歯です。 乳歯の抜歯は、専用の器具(乳歯鉗子:にゅうしかんし)で歯を掴み、ほんの数秒、優しく揺らすだけで「ポンッ」と抜けることがほとんどです。 お子さんによっては、抜かれたことに気づかないケースも珍しくありません。

ステップ4:止血と抜けた歯の確認

歯が抜けたら、傷口をガーゼで数分間しっかり押さえて血を止めます(止血)。 血が止まったことを確認したら、処置はすべて終了です。 抜けた歯は、記念にケースに入れてお渡しすることもできます。

当院では、お子さんの年齢や性格に合わせて、「今から虫歯をやっつけるよ」「歯が動く練習するね」など、できるだけこわくない言葉を選んでコミュニケーションを取ることを心がけています。

まとめ|迷ったときは、親子で安心して相談できる歯医者へ

お子さんの乳歯の生え変わりは、成長の証であり喜ばしいことですが、同時に「これでいいのかな?」と迷う場面も多いものです。

今回は、グラグラなのに抜けない乳歯について、

  1. 抜けない理由(根っこが残っている、生え方がズレている等)
  2. 自己判断で抜くリスク(痛み、感染、トラウマの原因に)
  3. 歯医者での抜歯を検討すべき3つのケース(永久歯が見えている、痛みがある、時期が来ても抜けない)
  4. 怖くない歯医者さんでの抜歯の流れ(麻酔と短時間での処置)

をご紹介しました。

一番大切なのは、お子さんが痛みやコンプレックスを感じることなく、スムーズに大人の歯(永久歯)へバトンタッチさせてげることです。

「うちの子は、抜いた方がいいのかな?」 「まだ自然に抜けるのを待っていても大丈夫かな?」もし少しでも迷われたら、どうか保護者の方だけで悩まないでください。 乳歯の抜歯は、タイミングがとても重要です。

私たち歯医者は、お子さんのお口の中の「今」の状態を正確に診断し、ご家庭ごとの状況に合わせた最適なアドバイスをするプロフェッショナルです。

「こんなことで相談していいのかな?」と思うような小さな疑問でも構いません。 かわべ歯科クリニックでは、お子さんと保護者の方が、親子で安心して何でも話せる雰囲気を大切にしています。 迷ったときは、ぜひお気軽に相談にいらしてくださいね。

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