
知っておきたい!乳歯から永久歯への生え変わりスケジュール
お子様の小さな乳歯がグラグラし始めると、「いよいよ生え変わりが始まった!」と、成長の証を感じて嬉しくなりますよね。 同時に、「ちゃんと生え変わるかな?」「周りの子より早い(遅い)かも?」と、少し心配になる保護者の方も多いのではないでしょうか。
まずは、この「歯の交換期」がいつからいつまで続くのか、全体像を把握しておきましょう。
乳歯から永久歯へ。生え変わりはいつからいつまで?
歯の生え変わりは、一般的に5歳後半頃から始まります。
「6歳臼歯(ろくさいきゅうし)」とも呼ばれる最初の永久歯(第一大臼歯)が、乳歯の一番奥に生えてくることからスタートし、それと前後して下の前歯が抜け始めることが多いです。
そこから、乳歯が抜け、永久歯が生えそろうまで、約6年間かかります。 つまり、小学校を卒業する12歳頃まで続く、とても長い期間のイベントなのです。
全部で何本入れ替わるの?
乳歯は全部で20本です。 この20本の乳歯がすべて抜け、永久歯にバトンタッチします。ただし、永久歯は乳歯よりも本数が多いことをご存知ですか? 親知らず(第三大臼歯)を除くと、永久歯は全部で28本生えてきます。
つまり、「生え変わる」のは20本ですが、それとは別に、乳歯がなかった奥歯のスペースに「新しく生えてくる」永久歯が8本(6歳臼歯4本+12歳臼歯4本)ある、ということです。
一般的な歯の生え変わりの順番

歯の生え変わりは、約6年かけてゆっくりと進みます。 「次はどの歯が抜けるのかな?」とお子様と話すのも、成長の楽しみの一つですよね。実は、この生え変わりの順番にも、一般的な目安があります。
まずは下の前歯からスタート
多くのケースで、生え変わりは下の前歯(乳中切歯)から始まります。 乳歯がグラグラして抜け落ちるのとほぼ同じ時期に、そのすぐ後ろから大人の歯(永久歯)が顔を出すことが多いです。
また、それと前後して、一番奥に「6歳臼歯(第一大臼歯)」が新しく生えてきます。これは乳歯と交換するのではなく、新しく追加される歯なので、見落とさないように注意が必要です。
時期と順番の目安
一般的な生え変わりの時期と順番の目安は、以下の通りです。
①6~7歳頃
- 下の前歯(真ん中:乳中切歯)
- 上の前歯(真ん中:乳中切歯)
- (生えてくる)第一大臼歯(6歳臼歯)
②7~8歳頃
- 下の前歯(2番目:乳側切歯)
- 上の前歯(2番目:乳側切歯)
③9~11歳頃
- 下の犬歯(糸切り歯:乳犬歯)
- 下と上の奥歯(手前から1番目:第一乳臼歯)
④10~12歳頃
- 上の犬歯(糸切り歯:乳犬歯)
- 下と上の奥歯(手前から2番目:第二乳臼歯)
⑤12歳頃~
- (生えてくる)第二大臼歯(12歳臼歯)
基本的には「下の歯が先に抜け、その後対応する上の歯が抜ける」「前歯から奥歯に向かって順番に進む」とイメージすると分かりやすいかもしれません。
周りの子と違う?生え変わりの時期の個人差について

「周りのお友達はもう前歯が抜けたのに、うちの子はまだグラグラもしていない」
「逆に、うちの子だけ抜けるのが早い気がする…」
お子様の成長は、どうしても周りと比べてしまいがちですよね。特に歯の生え変わりは目に見える変化なので、個人差が気になりやすいものです。
「平均」はあくまで目安
先ほど、一般的な生え変わりの時期や順番をご紹介しましたが、あれはあくまで「平均的な目安」です。 実際には、お子様の成長のスピード、体格、性別(女の子の方がやや早い傾向があります)、さらには栄養状態や遺伝など、さまざまな要因によって個人差が生まれます。
どのくらいのズレなら心配ない?
目安となる時期から、前後1年~2年程度のズレであれば、多くの場合、特に心配する必要はありません。
例えば、6歳頃から始まるとお伝えしましたが、5歳で始まっても、7歳を過ぎてからゆっくりスタートしても、それ自体が異常というわけではありません。
大切なのは、「順番通りに生え変わっているか」「永久歯がきちんと準備されているか」です。
ただし、
- 明らかに早すぎる(例:4歳代で前歯が抜けてきた)
- 目安の時期を2年以上過ぎても、最初の1本が抜ける気配がない
- 片方の歯が抜けたのに、反対側の同じ歯が半年以上経っても抜けない
など、気になるズレがある場合は、一度歯科医院でレントゲンを撮ってもらうと安心です。永久歯がきちんと育っているか、何か邪魔しているものがないかを確認できます。
この時期に特に注意したい3つのこと

約6年間続く歯の生え変わり期は、お子様のお口の中が最もダイナミックに変化する時期です。 乳歯と永久歯が混在し、歯並びも変化していくこの時期特有の注意点があります。
注意点1:生えたての永久歯は「むし歯」になりやすい
生えたばかりの永久歯、特に「6歳臼歯」は、非常にむし歯になりやすいので要注意です。
生えたての歯は、まだ歯の質が未熟で柔らかく、酸に弱い状態です。また、6歳臼歯は一番奥に生えてくるため歯ブラシが届きにくく、溝も深くて複雑なため、汚れが溜まりやすいのです。
この時期は、保護者の方による仕上げ磨きが不可欠です。特に奥歯の溝は丁寧に磨いてあげてください。また、歯科医院でのフッ素塗布や、むし歯になりやすい溝をあらかじめ埋めてしまうシーラントといった予防処置も非常に有効です。
注意点2:歯並びへの影響
生え変わりの時期は、将来の歯並びに影響を与えるさまざまな要因が出てくる時期でもあります。
乳歯が抜けるのが早すぎたり、逆にいつまでも抜けずに残っていたりすると(乳歯晩期残存)、永久歯が正しい位置に生えるのを邪魔してしまうことがあります。また、指しゃぶりや舌で歯を押す癖(舌突出癖)、口呼吸なども、歯並びを乱す原因となります。
まずは、生え変わりが順調に進んでいるか、定期的に歯科医院でチェックしてもらうことが大切です。
乳歯がなかなか抜けない乳歯晩期残存については、こちらの記事で詳しく解説しています。気になる癖があれば、早めに相談しましょう。
合わせて読みたい
乳歯の晩期残存とは?懸念されるトラブルについて

注意点3:仕上げ磨きの継続
お子様が自分で歯磨きを始めたとしても、この時期は必ず仕上げ磨きを継続してください。
乳歯と永久歯が混在している時期は、歯の高さがデコボコになり、非常に磨きにくい状態です。お子様本人だけでは、絶対に磨き残しが出てしまいます。
「自分で磨く練習」と「保護者の仕上げ磨き」はセットだと考えましょう。永久歯がすべて生えそろう12歳頃、少なくとも小学校高学年(9~10歳)頃までは、保護者の方が最終チェックと仕上げをしてあげることを強くおすすめします。
まとめ|お子様の成長を温かく見守るための基礎知識
お子様の歯の生え変わりについて、そのスケジュールや順番、注意点をご紹介してきました。
乳歯が生えそろうまでが約2年半なのに対し、永久歯に生え変わる期間は約6年と、非常に長い時間がかかります。 その間、周りのお子様と比べてしまったり、むし歯や歯並びのことが気になったり、保護者の方の心配事は尽きないかもしれません。
しかし、生え変わりの時期や順番には個人差があるのが当たり前です。 今回ご紹介した基礎知識は、あくまで「目安」として頭の片隅に置きつつ、まずはお子様一人ひとりの成長のペースを温かく見守ってあげてください。
とはいえ、この時期が将来の健康なお口(永久歯列)を作るための「土台作りの時期」であることも事実です。 生えたての永久歯をむし歯から守り、きれいな歯並びを誘導するためには、ご家庭でのケアと歯科医院でのプロのチェックが欠かせません。
「これは個人差の範囲内かな?」「この癖は大丈夫?」と少しでも不安に感じることがあれば、ぜひお気軽に歯科医師にご相談ください。 私たち専門家の視点で、お子様の健やかな成長を一緒にサポートさせていただきます。